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旅立ち ソウル駆け足訪問記1

二泊三日でソウルを駆け足観光してきた。


亡父は京城(けいじょう。ソウルの旧名。日本の植民地時代はこう呼ばれていた)育ちで、戦後に日本に引き揚げてきた。宮城出身の曾祖父が明治時代に朝鮮へ渡ったのである。

父は京城で旧制中学に進んだが、同級生には朝鮮人(当時はそう呼んでいた。日本人が侮蔑的なニュアンスで使っていたこともあり、現在は日本人が避けるべき表現だが、ネトウヨの馬鹿どもが使っていたりする。)も多く、きっと良家の子弟であったのだろうが、同化政策でもあったと思われる。

老後、父は中学の同窓会長をしていたが、韓国側の同窓会長をしていたのが今回ソウルへ招いてくれた91歳翁である。30年ほどのあいだに2,3回顔を合わせたくらいだが、メールで頻繁にやり取りしているので、向こうでも親しみを持ってくれているのだ。

以前からこの91歳翁がソウルへ来いと言ってくれていたが、老母のことなどもあってなかなか実現せず、調整の末、8月末にやっと訪問することが出来た。

旅行比較サイトで見ていった結果、大韓航空で往路は成田〜仁川、帰路は金浦〜羽田の組み合わせがどちらも夕刻着で、そこそこの滞在時間になりそうだし、予算の兼ね合いでこの組み合わせに決定。韓国のLCCならもっと安かったが、せっかくの旅でセカセカした思いをするのも嫌だし、日本の航空会社ほどではなくとも韓国最大手だから信用できるだろうと・・・。LCCは時間も不便だし恐いし、ま、何度も行き来するようなリピーター向けであろう。

昨年の同時期もそうだったが、夏の終わりになると頭がくらくらして胃がむかむかするという体調不良に襲われる(乗り物酔いのような感じ)。昨年、近隣の脳外科でMRIを撮ってもらい、隠れ脳梗塞や嚢胞はあるが命に関わるようなものではないと言われていたが、こんな感じでせっかくの、そして初の海外旅行をするのも嫌だと思って再びMRI、再び同じ診断。旅行があるので胃のむかむかを何とかして欲しいと言ったらナウゼリントラベルミンが処方された。昨年の診断では自律神経が乱れているのだろうと言われたし、今年は何度も台風が通過するので低気圧のせいもあるかもしれないということだった。

そして、伊豆諸島沖で発生してからフラフラと南大東島まで南下して停滞していた台風10号が動き始め、ちょうど旅立つ日あたりに関東に接近しそうだという予報が数日前から出ていて非常に不安だった。数年前から雨男で、出かけようと計画していた日は大概雨になるし、晴れの狹間の1日だけの雨が当たることもあった。今回もそうかよバカヤローと思いながら、せめて飛行機が落ちたり、飛行中止になったりせねば良いがなぁと危惧する日々。

そして旅立ち当日、台風は翌日に接近しそうだということで、小雨の中をキャリーケースをガラガラ引きながら出発。地元駅からのリムジンバスで成田へ。出発2時間前どころか3時間半前くらいに到着しそうであったが、他にちょうどよい便がないので致し方ない。成田で飛行機を眺めて時間を潰そうと思った。

展望デッキから飛行機を眺めているのは面白かった。よくあんなデカい物がふわりと浮かぶものだ。そして離陸時のジェット音の凄さを考えると、よほどの出力なのだろう。



12時45分発の仁川行きだったが、到着が遅延し、搭乗も30分ほど伸びた。待合室のベンチでは晩飯の相談をしている女子旅がいて、食欲不振の身としては健啖な若人の羨ましい事よと思うのであった。

搭乗口でたびたび流れるアナウンスは同じ女性による韓日英で、どの言語も流暢に話すのである。一体どこの人なんだと思ったが、よく聞くとザズゼゾが言えてないので韓国人らしいと納得。

搭乗して動き出すと緊張感が高まる。何せ飛行機は高校の修学旅行以来なのだ。高校生の時も離陸時のGがジェットコースターみたいだと思ったものだが、今回も同様。スリルを楽しみつつ窓外を眺めていると(うっかり取ってしまった席は翼の近く・・・)、すぐに雲の中に入り、やがて雲の上へ。何とまぁ日常と違う景色であった。

機内から見えたジェットスター機。


悪天候接近中でもあり、入道雲がモコモコと。


機上よりの雲。



客室乗務員にはいかにも韓国美人らしい切れ長の目の女性がいて、チマチョゴリを着たら似合いそうだった。機体と同じ空色の制服も爽やか。しわが寄るほどピチピチとしており、やや女性美を強調しているような感じもあるが、スカイマークの様にエロに特化したような不快感はない。

どちらかと言うと台風に近づいていくような感じで悪天候が心配だったが、案の定、乱気流なのかとんでもない落下Gがかかった。絶叫マシンに乗せられているような感じを二、三度味わい、思わず肘掛けを握りしめて声が出た。あぁ無事で良かった・・・。隣席の若者は荷物を棚に入れてくれたりして親切だったが、アイマスクをして寝ていたから何と肝の太い事よ(笑)。

機内食は鶏肉のあんかけのようなものとご飯が同じ皿に盛られているのがメインだったが、ニンニクがたっぷり入っているのがいかにもお国柄という感じがした。ただし胃の不調でこれは食べられず。パンとサラダを食べる程度だった。

危惧していた乗り物酔いは起きず、何とか無事に2時間ほどを乗り切ることが出来た。



成田で待っている時、ガラス外の草むらをちょこまか歩いていたのはハクセキレイの若かな。