本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

銀輪に花束を/斉藤純

 北東北を舞台にした自転車掌編小説集という感じだろうか。、第一部は主人公「彼」の自転車についての思いや、年の離れた友人Y氏についてや、音楽に関するウンチクなどを淡々と綴っていて、特に派手なストーリー展開もない。二部、三部も、多少主人公が変わるものの同じようなものだ。この感じは既視感があるなぁと思ったら、片岡義男のオートバイ小説によく似ているのだった。その分だけ新味がないかもしれないが、自転車乗りの気分をシンプルに伝えている。