本・花・鳥(ほん・か・どり)

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西村寿行 追悼

先月に亡くなった人気作家である。70年代〜80年代中盤にかけてが最盛期だったと思うが、バイオレンス、活劇、ハードボイルド、動物小説などはひっくるめてハードロマンと呼ばれ、徳間書店から大量の新書版叢書「西村ハードロマンシリーズ」が出版されていた。大藪春彦の「大藪ホットノベルズ」と双璧を為す人気だったはずである。

動物もの、痛快なアクション、超人的な体術を誇る謀略関係者たちを主人公としたシリーズなど、シリアスなものからギャグを交えたものまで多彩な作風であり、エンターテインメントとしての質も高かったが、必ずと言っていいほど陵辱シーンが挿入されるのだけは辟易した。80年代中盤から失速、過去の栄光の焼き直しの感があったが、晩年は闘病生活だったらしい。

各出版社の編集者を集めて宴会や旅行に付き合わせるなどかなり我が儘であったらしいが、編集者たちをそのまま実名で登場させた荒唐無稽なSF「地獄」なんて作品は、落語のように馬鹿馬鹿しくて楽しかったものである。猛烈なパワーで一時代を築いた作家だったなぁ。

↓PC内にある西村寿行読了済みリストをコピーしました。こんなに読んでいたのか・・・。

牙城を撃て(上)  
牙城を撃て(下)  
遥かなる海嘯    
石塊の街      
往きてまた還らず  
呑舟の魚      
監置零号(連)   
峠に棲む鬼(上)  
峠に棲む鬼(下)  
蒼芒の大地滅ぶ(上)
蒼芒の大地滅ぶ(下)
わらの街      
帰らざる復讐者   
雲の城(連)    
鬼女哀し      
狼のユーコン河   
咆哮は消えた(短) 
濫觴の宴      
鬼         
幻戯(めくらまし) 
荒涼山河風ありて  
梓弓とりて     
闇に潜みしは誰ぞ  
遺恨の鯱      
怨霊孕む      
炎の大地      
曠野の狼      
無頼船ブーメランの日
虎落笛       
秋霖(上)     
秋霖(下)     
虚空の影落つ    
滅びざる大河    
わが魂永遠の闇に  
霖雨の時計台    
妄想果つる時    
襤褸の詩      
妖獣の村      
異常者       
裸の冬       
鉛の法廷      
沈黙の渚      
修羅の峠      
血(ルジラ)の翳り 
昏き日輪      
君よ憤怒の川を渉れ 
花に三春の約あり  
晩秋の陽の炎ゆる  
回帰線に吼ゆ    
汝は日輪に背く   
遠い渚       
怒りの白き都    
白骨樹林      
地獄(上)
地獄(下)
珍しや 蟾蜍吐息す
幽鬼の鯱     
赤い鯱
黒い鯱
緋色の鯱
神聖の鯱
往きてまた還らず
鷲の啼く北回帰線
頻闇にいのち惑ひぬ
鷲の巣