本・花・鳥(ほん・か・どり)

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退屈姫君海を渡る/米村圭伍

新潮文庫オリジナルです。「風流冷飯伝」「退屈姫君伝」の直系の続編であり、後の作品では大きく変貌を遂げている連中が初期のままで登場しているのがなんとも嬉しゅうございます。

四国の小藩風見藩に嫁いだめだか姫は、前作では田沼意次と対決して活躍したものの再び退屈な日々を送っています。そこに、お国入りした夫時羽直重が行方不明との知らせがもたらされ、「夫を救うのは自分しかいない」と拳を握りしめるのでした(笑)。

奇妙な術を使う悪人、愉快な冷飯たち、ずっこけ隠密などが入れ乱れるなか、すっとんきょうな藩主正室と風変わりなお供たちはお家の危機を解決できるのか!?。淫靡なはずの場面もからっと明るく、ユーモラスで痛快な好篇です。

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退屈姫君 海を渡る新潮文庫