本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈 

滋賀県大津市膳所を舞台に、頭がよくて風変わりでマイペースな成瀬あかりと、成瀬の幼馴染で、風変わりな友人をそばで眺めて成瀬あかり史の証人になることを決めている島崎みゆきの物語。


「天下を取る」とか「二百歳まで生きる」とか決めている成瀬だが、第一章では「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」と宣言する。閉店する西武大津店を惜しみ、閉店まで毎日西武から中継される生番組のコーナーに西武ライオンズのユニフォームを着て映り続けようとするのである。島崎にはテレビを見てくれるよう依頼するのだが、なんとなく興味を示した島崎はついに行動を共にしたりする。


第二章では「島崎、わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」と、島崎を漫才コンビに引っ張り込み、M-1を目指そうとする。漫才コンビ「ゼゼカラ」を結成した二人の活躍やいかに。


とにかく天衣無縫な成瀬のキャラクターが痛快。他の章では、成瀬が触媒となって周囲の人間がちょっといい方向に変化したりするエピソードもあり、笑えてセンチメンタルな友情物語だ。