本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ごごろ/山本渚 

吉野北高校図書委員会吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋に続く第三弾。

三年生となり図書委員会の幹部から退いた川本かずらは、受験勉強に打ち込むべき時期に私論が決められず悩んでいる。学びたい大学があるのは県外、しかし仲間と離ればなれになるのは寂しい、しかもかつて自分に好意を寄せていることを告白した藤枝高広が気になり始め、うじうじ思い悩むかずらである。しっかり者で責任感の強いかずらのうじうじする姿もなかなか愛らしいし、しかもかずらに行為を見せ始めたメジャー系男子(見目よくスポーツもばっちりのモテ男)が現れ、かずらの心は更に思い乱れるのだった。

かずらの親友である武本大地(こちらは勉学もスポーツも努力型のモテ男)は藤枝とかずらの関係を知り、疑似嫉妬的な感情をたぎらせているが、これは第一巻でかずらが持っていた感情であり、まっさらな友情と共にこういうどす黒い感情も描いて上手い。

かずらのもうひとりの友人壬生っち(竹を割ったような性格の腐女子のお嬢様)もなかなかいいキャラで、かずらと藤枝高広の関係に関して余計なことをするなよとそれとなく釘を刺しに来た大地と和やかに火花を飛ばし合いつつ、
「友達って不思議だ。
 本当に大好きな友達のためなら、腹黒くも、性格が悪くもなれる。どうでもいい人に嫌われることなんかちっとも怖くなくなる。そして、たぶん易しくもなれるし、まっすぐにもなれるのだ。」と述懐している。

深いなぁ(笑)。