本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

アイスクリン強し/畠中恵

江戸から明治に時代が変わって二十三年、銀座で洋菓子屋を営む皆川真次郎や幼なじみの長瀬巡査など、幕臣の末裔たちが新体制の中で何とか頑張ろうとしている姿に若干の謎解きを交えた明治開化ミステリーという感じだろうか。

筋立ても人物造形もセリフ回しも何となく不自然で中途半端。時代と舞台が松井今朝子の「銀座開化おもかげ草紙」シリーズとカブっているのも気になる。「しゃばけ」シリーズで人気の著者だが、時折現代物など、毛色の変わった作品を出してくる。しゃばけ一辺倒ではいられないからかもしれないが、すべてが成功しているとも思えない。