お鳥見女房シリーズの第三弾です。
主人公の珠世は、お鳥見役という幕府の下級役人矢島伴之助の妻ですが、お鳥見役の任務で他藩への密偵に出かけた夫を心配しつつ、しっかり留守宅を守り、家族の面倒を見ています。そこへ子だくさんの居候が転がり込んだかと思うと、居候を仇と狙う女剣士が現れたり、何かと事件が持ち上がりますが、持ち前の気丈さと優しさでしっかり裁いていくのでした。実にしみじみと読ませるシリーズです。
第三弾では、心に傷を負う家族を気遣ったり、子供の縁談に心を騒がせたり、気ぜわしい珠世の日々が四季折々の情緒と共に描かれて、今作も何とも言えず味わい深うございます。表題作の「鷹姫」とは長男の縁談の相手ですが、この展開は一筋縄ではいきそうもありません・・・(笑)。