本・花・鳥(ほん・か・どり)

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サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う/鈴木智彦

文庫化にて再掲(と言う名の使い回し(笑))。



ヤクザ専門のライターが、日本の魚類の流通にいかに密漁が関わっているかを詳細に取材したノンフィクション。


北海道でのナマコの密漁(中国に高く売れるらしい)、三陸でのアワビの密漁(石巻に密漁団の本拠地があるとか、かの地をルーツとする者としてはちょっと複雑だ)、築地でのアルバイトを通した潜入取材(著者は震災後の福島原発に潜入取材した過去もある)、レポ船(ソ連のスパイとなることでお目こぼしして貰う)や特攻船(馬力の強い船で拿捕から逃げ切る)と言った北方領土での密漁、ヤクザが街を支配していた銚子での密漁、絶滅危惧種であるニホンウナギのシラスを巡る闇ルートなど、日本のサカナにはこんなにも密漁(及びヤクザ)が関与しているのかと知らされる。


正規品と混ぜて出自を分からなくするロンダリングなど、まさに闇ビジネスの世界だが、そう言ったアングラなものにはなぜか興味を引かれてしまうのだなぁ。著者がヤクザにこだわり続けるのもその辺だろうか。ま、日本人はやくざ映画が大好きだし。触れてはいけないものとして忌避しつつ、アングラだからこそ惹かれるのかもしれない。


日本の魚類流通は密漁がないと成り立たないらしいと知らされた一冊。