20年~30年ほど前の東京で著者が接した外国人との交流を綴ったエッセイである。タイトルは、外国人と歩いていると東京も異国に思えてくると言うことだそうだ。辺境ライターの異名を取る著者は、辺境を旅するために外国語の習得を目指して様々な外国人と接しているようで、その姿を面白おかしく活写している。
旧フランス領アフリカへ渡るためにフランス語習得を思い立ち、電車の中で隣に座っていたフランス人女性に声をかけてみたら前衛舞踏に傾倒してコミューンのような暮らしをしている自分探しの人で、教師としてはあまり役に立たなかったとか、飛行機内で知り合った日系ペルー人のインチキさとか、面白悲しい人間模様が読ませてくれる。
特に面白いのは盲目のスーダン人とのエピソードで、ラジオの野球中継ですっかり日本のプロ野球通になっているスーダン人と球場で中継ごっこなどしているのだが、ユーモラスなやりとりのおかしさと共に、著者のやさしい視線が伝わってきて微笑ましい。
全編こんな感じで、軽く読めるが人間味あふれるエッセイである。

- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/02/18
- メディア: 文庫
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