本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

オヤジ・エイジ・ロックンロール/熊谷達也

仙台の中規模印刷会社に勤務する五十路のサラリーマンがふとしたことでギターを手にし、バンド活動に熱中した学生時代を回顧しつつ、現代のオヤジバンドとして奮闘する音楽小説。おそらく著者の体験がかなり投影されているのだろう。
 
かつてはG大の五大バンドとして腕を振るった黒沢巧也だが、ある苦い思い出と共に音楽は封印されている。しかしつい楽器屋に迷い込んだことで久々にギターを手にするとずぶずぶと沼にはまり(カメラにはまるとレンズ沼という泥沼が待っているが、ギターにも機材の沼があるらしい)、更に同好の士が集まってのめり込んでいくのであった。

ちょっと偶然の出会いがありすぎる気もするが、そこは地方都市ゆえであり得なくもないか。昔を振り返り今を楽しむ展開が「出来すぎだぜ!甘いぜ!緩いぜ!」と思わなくもないが(笑)、ほぼ同年代のおっさんたち(彼らの方が2歳ほど上かな)の青春には共感できる。

仙台のマンモス大学というと東北学院が思い浮かぶが、なぜG大なんだろうと考えていて、あそこは学院と呼ばれることがあるのかもと思い至った。宮城に亡父のルーツがあるので、同年代の身内が5人東北学院を卒業しており、その点からもちょっと興味深いが、そういえば空中分解状態のハウンドドッグもあの大学から出ているんじゃなかったかな。メンバーの一人は従兄の友人だったらしい。