本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

陽だまりの彼女/越谷オサム

甘々でしかも相当に切ないラブストーリーである。

語り手の浩介は、中学時代、要領が悪く気まぐれで非常識な不思議ちゃんで「学年一のバカ」と呼ばれていじめられていた真緒をついかばってしまい、「キレる子」のレッテルを貼られてしまうが、自分になついてくる真緒を疎みつつ、でも実はかなり気になる存在ではあった。

浩介の転校で離ればなれになった十年後、鉄道広告代理店のペーペー社員である浩介は、クライアント側のやり手担当者として現れた魅力的な真緒と再会し、恋に落ちる。このあたりまでは幸せがベタベタ過ぎるバカップル恋愛小説という感じであったが、複雑な過去を持つ真緒ゆえに養い親が交際に反対し、直情径行の真緒が駆け落ちを提案、二人で暮らし始めるというのが実際の物語の導入部である。

新婚生活は幸せそのものであるが、真緒の前歴やら不審な行動やらが不安なトーンも醸し出す。そして紆余曲折を経て、うーんそう来たかと、あざといくらいに感動的な落ちが待っている。導入部のバカップル部分を乗り越えられればだけれど・・・(笑)。

読書SNSでお付き合いのある方も「お互いに気になっていた中学の同級生と偶然の再会。障害を乗り越えいたわりあって愛を育む。まぁこれだけじゃ単なるベタベタの恋愛小説で、ちょっと読むに堪えない」と感想をお書きで、大いに同感である。
http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2013/09/post-a64e.html