本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

アンリ・ルソー

本日のNHK教育「新・日曜美術館」はアンリ・ルソーを採り上げていた。

絵の教育を受けておらず、日曜画家から出発したルソーは、初期の絵画ではボロクソに言われていたようだ。確かに人物のバランスや遠近感のない構成など、とても稚拙な感じがする。

番組でも元祖ヘタウマというキャッチフレーズを付けられていたが、シンプルな素朴さに魅了された画家が多かったらしい。

我が国では、土田麦遷、小野竹喬らの日本画家が影響を受け、あの独特の風合いを日本画に移し替えている。この系譜に連なるのが東山魁夷かと思ったりするが、どうなのだろうか。

自分にとってアンリ・ルソーの魅力は、植物の描き方である。深緑の濃密なジャングルの描き方はとても生命感に溢れ、なおかつ幻想的でリリカルで楽しい。あのモチーフは植物園や図鑑から得たものらしいが、想像の産物だからこその魅力だろうか。

税関の役人をしていてルソーは、晩年、詐欺まがいのことをしたことがあるという話も聞いたことがあるが、その辺も小市民的で何となく楽しい(笑)。



開館20周年記念 ルソーの見た夢、ルソーに見る夢  アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに魅せられた日本人美術家たち