本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

21階からの眺望

かつて横浜ドリームランドという遊園地があった。関西の興行師松尾國三率いる日本ドリーム観光が運営していたもので、遊園地を中心に、ヘルスセンターやら映画館やらスーパーやらゴルフ練習場やらホテルやらが併設された、いかにも昭和の匂いのする総合アミューズメント施設だった。バブル期にダイエーが買収したが、バブル崩壊後に経営が低迷、2002年に閉園に至ったものである。

この規模の遊園地は近隣には他になく、かつて東洋一と言われた観覧車があったり、日本で初めて宙返りコースターが導入されたり、それなりに充実した遊園地だった。人工水路の中をレール付きの船で進んでいくジャングル探検船という乗物があったが、ネズミー特集で何やらクルーズを見たりすると、怪物が出てきて船長が腰の拳銃でパーン!という演出も同様で、なんだジャングル探検船と同じじゃんと思うのである。もちろんネズミーの方が本家なのであろうが(笑)。

ドリームランド閉園後、跡地が一時期中古車オークション外車に買収され、オークション会場建設計画が発表された。しかし、環境の悪化とか、渋滞が起きるのではとか、周辺住民の反対の声がわき起こり、結局、一部を市が買い取って野球場と墓地と公園に整備し、一部は都築学園グループ横浜薬科大学となった。

薬大となったのは、ヘルスセンターやホテルやゴルフのあった一角である。ホテルの建物は五重の塔を模したような高層建築で、営業当時はエンパイヤステートホテルと名乗るなど、極めてキッチュで悪趣味な建造物だったが、近隣のランドマークでもあり、遠出から帰ってきてかの五重の塔が見えるとホッとしたものである。

現在、ホテルは薬大の図書館棟になっていて、三が日の間展望ラウンジを一般開放するというので登ってみた(かつては展望レストランだった)。6人乗りの小さなエレベーターしかないらしく、風邪引きが咳をしたら大いに顰蹙を買うだろうなぁと思ったが、やっぱり魅力には抗えず、どうか咳が出ませんようにと思いつつエレベーターに乗ったのであった(親子連れと一緒になったが幸い咳は出なかった。マスクをしていたので用心されたかもしれない)。

そして21階からの眺めはやっぱり最高。気分はムスカってものだろうか(笑)。江ノ島伊豆大島まで見えるし、北に目を転じればスカイツリー筑波山(おそらく)も。普段の遠近感との違いからちょっと平衡感覚の狂うような感じもあったが、それもまた新鮮。富士山が雲の中で残念だった。


これが元エンパイヤステートホテルだ!


庇を模した部分がなければもっと視界が広かろうに・・・。



江ノ島の向こうに伊豆大島


丹沢方向


富士山方向(少しだけ富士山の裾が見えている)


ドリームハイツ方向


東京スカイツリー


ランドマークタワーベイブリッジが見えるみなとみらい21地区


伊豆半島方向


伊豆半島方向のエンジェルズラダー


どんよりした空