文庫化にて再掲、という名の使い回し(笑)。
漫才コンビ「オードリー」の若林正恭によるキューバ旅行記。何かのエッセイ賞を受賞したと話題になっていたので読んでみた。
社会問題についての家庭教師を付けているという著者は、格差とかネオリベなどについて思いを巡らし、そういうものとは一番遠くにありそうなキューバ旅行を短い休暇を利用して思い立つ。
ラテン国家らしい陽気で享楽的な人々、平等のはずの社会主義国にもある格差など、感じたままをいかにも著者らしい自意識過剰のひねくれた筆致で描いていて面白いが、このままでは軽く読めるタレント本ではないかとやや懐疑的になりながら終盤へ。
そこでは早くに亡くなった父親のことが書かれていて、キューバは父親の行ってみたかった土地でもあったことが分かる。子供の頃の思い出とか、父親への思慕が込められた終盤が本書のキモであったかと思われる。

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 (文春文庫 わ 25-1)
- 作者:若林 正恭
- 発売日: 2020/10/07
- メディア: 文庫