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天空の陣風(はやて)/宮本昌孝

超絶的に武芸に秀でた快男児が陣借り(傭兵)として活躍する「陣借り平助」の続編。ずいぶん前に読んだ本なので詳細は忘れているが、平助は混血児のみなしごで、堺の商人のもとで育てられていたような気がする。


以下、「陣借り平助」出版PRより。
「魔羅賀平助、ご助勢仕る」緋色毛の愛馬を駆って颯爽と戦場に進み出る巨躯の若武者。人呼んで“陣借り平助”。四尺の長刀を腰に佩く並はずれた勇者であった。必ず劣勢の陣に加勢する平助は今、無謀にも今川義元の最強兵団に立ち向かう織田信長に陣を借りていた…。将軍義輝をして「百万石に値する」と言わしめた平助の戦ぶりを清冽に描く、一大戦国ロマン。


陣借りとは、戦のあるときに戦陣の隅を借り受けて戦い、報償を得る傭兵である。そして、本作でも魔羅賀平助は歴史の合間を縫いつつ痛快な活躍を見せるが、有名な歴史上の人物にちょっとした謎やトラブルを設け、そこに平助が巻き込まれたりトラブルを解決したりという構成はハードボイルド的だ。

そして、ハードボイルドの主人公である探偵たちが人の人生の傍観者となるのと同様、平助も歴史上の主役にはなれず、史実のすき間を縫って歩いているような悲哀を感じさせる。基本的には陽性のヒーローなのだが・・・。ちょっといかがわしく思えるその名の通り、相当に色事師でもあった(笑)。