本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

闇の守り人/上橋菜穂子 

中世的な世界において、凄腕の短槍使いである女用心棒バルサの活躍を描く児童ファンタジー守り人シリーズ」の第二弾である。(第一作は精霊の守り人

バルサの父カルナは、カルバン王国で王の主治医を務める名医であったが、王弟ログサムの王位簒奪の陰謀に加担させられ、後に殺される。自分の身の危うさを知っていたカルナは、親友の武人ジグロに娘を託し、ジグロとバルサの逃避生活が始まったのである。

ログサムもジグロも死に、ジグロのためにも一度は故郷に戻ろうと思ったバルサは、国境の洞窟の中でヒョウル<闇の守り人>に襲われていた兄妹カッサとジナを助け、後にこのことがバルサとカッサに苦難を強いることになる。

全編が陰謀と追跡行で彩られ、非常に迫真的な筋立てだ。ネタばらしになるので詳しく書けないが、人々の葛藤が重厚に描かれ、とても読み応えのある一巻だった。