本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

七人の敵がいる/加納朋子

われら荒野の七重奏(セプテット)の前編にあたる。
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同じように山田陽子(バリキャリの有能編集者)が主人公で、PTAやら学童保育やら自治会などの理不尽な(と考えてしまう)役回りに抵抗しつつ奮闘するさまをユーモラスに描いている。


息子の小学校入学と同時に様々な役を押しつけられそうになる陽子は、働いていることを理由に断ろうとするがそうは問屋が卸さず、ならば一番楽な道を選ぼうとする。時には強硬に正論を吐いたり、高慢に振る舞ったりして周囲を敵に回したり。決して品行方正な人格者ではないが、曲がったことが嫌いで、女性だけに押しつけられる子育ての理不尽さに抗いながらまっすぐに驀進する。


敵になるのはPTA会長だったり、自治会役員だったり、教師だったりで、理不尽を豪快に叩きのめしていくさまが痛快。ユーモラスな母親小説である。