本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ぼくとテスの秘密の七日間/アンナ・ウォルツ

オランダの児童文学。


両親と兄のヨーレとリゾートのテッセル島にバカンスに来たサミュエルは10才の少年。賢いが頭でっかちで、妙な質問を発しては家族を辟易させたりしている。2才上の兄はテストの成績が悪く、喧嘩ばかりしている兄弟だ。


ある日、ひとつ年上で背の高い少女、テスと出会ったサミュエル。強引で活発で風変わりなテスと仲良くなり、一緒に遊んでいるうちにテスの妙な計画に巻き込まれることに。テスはシングルマザーの母に育てられているが、島に来ているファーベルさんが父親にふさわしいかどうか見極めようとしているのだ。そしてどういう風に計画を持っていくか、最期までハラハラドキドキさせる展開である。


その過程でサミュエルは家族や死について考えることになる。家族で一番年下の自分は家族を送ったら最後に一人になるという現実に直面し、孤独に慣れるために家族から離れる時間を過ごしたりしている。このあたり、いかにも生や死を意識し始める10才だなぁという感じ。


最後までハラハラドキドキさせるが、児童文学なので読後感は良し。ほのぼのと良かったなぁ。テスのママの肝っ玉ぶりが笑える。