大坂の商人、木津屋吉兵衞の意地を描いた時代小説。
吉兵衞は実家から養子に出され、木津屋を継いでいるが、学問好きの道楽者で、木津屋の財産をすり減らしている。実家の兄が急逝し、駆け付けてみると、頼りない養子(実家は兵庫の豪商、唐金屋)に取り入る奸臣の番頭が専横に振る舞っており、実家の危機に一肌脱ごうとするが・・・。
本来は商家の跡目争いに過ぎぬのに、将軍吉宗やら大岡忠相やらがからんできて、何故か一大疑獄に。吉兵衞は牢に放り込まれたり、濡れ衣を着せられたりしながらも、最後まで意地を張り通す。
浪花商人の誇りが痛快な時代小説である。