中学校の図書室をモチーフにした連作学園小説である。
登場人物は少しずつ重なっているが、必ず登場するのが学校司書のしおり先生。陽性で生徒思いでやや天然で子供っぽいキャラクターだ。
そして、しおり先生が、それぞれの篇の悩める主人公(カースト上位のキラキラしている子たちに脅えているような地味な女子である)に本を絡めたサジェスチョンを与えて問題の解決に導いていく。
どの短編も、生きづらい子たちの重苦しさがあって読むのがやや辛いが、最後に救済がある。最終篇の表題作はふとしたことからキラキラグループからはずされ、いじめられることになった女子が主人公だが、このいじめが卑劣で陰湿で悪質で読むのをやめたくなるほど痛々しい。水戸黄門的勧善懲悪の解決が待っている訳ではないが、それでも最後に平安がある。これがリアルというものであろうか。
重々しくはあるが、面白かったとも言える学園小説。最後にちょっとしたミステリー的な仕掛けがあるのは楽しい。