本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

夢見る帝国図書館/中島京子

語り手である女性作家は、上野公園で個性的なファッションで自由奔放かつ傍若無人な初老女性の喜和子さんと知り合いになる。


彼女は戦後すぐの幼い頃に上野で復員兵ふたりと暮らしていたということで、そのお兄さんが語った帝国図書館(現在の国立国会図書館国際子ども図書館)について小説を書くよう語り手に説く。そして、帝国図書館の苦難の歴史と、喜和子さんの来し方が交互に語られていくのだった。


天衣無縫に見える喜和子さんだが、窮屈な結婚生活から逃げ出してきたと言う過去を持っている。そして、彼女を慕う孫娘が語り手と親しくなり、祖母の語られなかった歴史を繙いていくという凝った構成。


帝国図書館樋口一葉に恋したりするくだりは笑えるし、個性的な喜和子さんも魅力的だし(樹木希林が演じたら良さげ)、最終的には大団円でほっと出来る読後感。