本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

そして、バトンは渡された/瀬尾まい子

3人の父親を持つという女子高生優子の風変わりな生活や来し方を描いた青春小説。


実母は早くに他界し、父親はやがて再婚。桁外れで非常識な継母に優子はなつき、楽しく暮らしていたが、やがて父親が離婚して海外赴任することに。友達と別れるのが嫌さに継母と日本で暮らす方を選んでしまった優子だが、何しろ桁外れな継母なので更に二回、父親を持つ羽目になるのだった(何しろピアノを弾きたいと優子が言ってしまったために、ピアノを持つ金持ち男性を再婚してしまうパワフルぶりだ(笑))。


そして、三人目の父親となった森宮さんは、優子と20才しか違わない、世間からずれた感覚を持つおじさんで、森宮さんとの生活が面白おかしく綴られていく。一見、幸せそうには見えない来し方の優子かもしれないが、自分を不幸と思ったことはなく、不幸に思いたがる教師との乖離が楽しい。


三人の父親の中では一番父親歴の長いのが森宮さんで、一生懸命父親たらんとしているところが微笑ましい。最後まで非常識な頑固ぶりを見せている。


読んでいて面白い小説ではあったが、設定がちょっと突飛すぎるかなと思わぬでもなかった。


【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された

【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された

  • 作者:瀬尾まいこ
  • 発売日: 2018/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)