本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

冬天の昴/あさのあつこ

冷酷で虚無的でサディスティックな奉行所同心、木暮信次郎が事件の真相に迫る時代小説シリーズの第五弾。


若い見習い同心が女郎と無理心中するという事件が起こる。木暮は現場に違和感を抱き、そして独自に探索を始めるが、協力を求めたのが小間物屋の遠野屋。遠野屋は陰惨な過去を持つが、現在はやり手の商人として頭角を現しており、過去と決別したいと願っている。


木暮信次郎は上記の通りの異常な男なので、遠野屋の正体は過去のままだと言いつのり、商人の仮面を引っぺがしてやると脅したりするのだが、この二人の妙な関係が本シリーズの読みどころだ。木暮は遠野屋が気になるし、遠野屋は木暮を遠ざけたいと思いながらつい関わってしまう。この二人に老練な岡っ引きがからみ(この二人よりは常識的だがやっぱりどこか変)、妙なトリオが事件の真相に迫る。 


伏線も謎解きもスリリングで、読み応えたっぷりの時代ハードボイルhttps://blog.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/suijun-hibisukusu.hatenablog.com/edit?editinplace=1#preview


冬天の昴 (光文社時代小説文庫)

冬天の昴 (光文社時代小説文庫)