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晴れた日は巨大仏を見に/宮田珠己

各地の巨大仏像を訪ね歩いた旅エッセイ。


牛久大仏高崎観音のような、数十メートルもある巨大仏像は何となく面白味がある。以前は、宗教施設や資産家が俗っ気たっぷりに自己顕示欲にかられた建造物というイメージを持っていたが、昨今はあれはあれで面白い風景かもと思うようになっている。それを著者は2000年代初頭と言う早い時代から目を付けていた訳だ(この時代、似たような観光をしている著作も多々あるらしいが)。


著者にとっての巨大仏の魅力は日常の風景に突如「ぬっ」と立ち現れる違和感だそうで、この気持ちはよく分かる。足元に普通の街があったりする方が違和感が強調されそうだ。昨今はインスタ映えを意識した人気もありそうだな。


単に「あぁ、面白かった」というユルい紀行文(それはそれで魅力だが)には終わっておらず、坂口安吾柄谷行人を引用して風景論を展開しているが、その言及については正直なところよく分からない。自分には「ぬっ」だけで十分だ。


本書で採り上げられている巨大仏の中で一番興味があるのは仙台大観音で、街の風景との違和感が凄い。他の巨大仏をわざわざ観光しに行く気力はないけれども、宮城は父祖の地であるし一度訪ねてみたいと思っている。


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晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)

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