江ノ島と写真という、どちらも好きなものを題材にしているらしいので読んでみた。
主人公の繭は、江ノ島に写真館を持っていた祖母が亡くなり遺品の片づけに通っている。写真大学で学んでいた過去があり、写真やカメラに親しんでいたのに、自分の写真でひとを傷付けたことですっかり消極的な性格になっていると言う設定。
祖母が残した未渡し写真に秘められた謎を繭が解いていくというミステリーだが、そこに関わる人々の心理描写などがなかなかにスリリングで読ませる。繭には、美少年の幼なじみが自分の写真によって世に出たことで思い上がっていたという過去もあり、過去と現在が絡まり合ってミステリアス。
写真という視覚的なものを文字で説明するのがやや分かりにくいのが難点だったかもしれないが、面白かった。
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/06/12
- メディア: 文庫
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