本・花・鳥(ほん・か・どり)

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メメントモリ・ジャーニー/メレ山メレ子

旅と死について思いを巡らせている紀行エッセイ集。ウェブ連載されたときに読んでいるが、本になったものを改めて読んでみた。著者は会社員兼業のエッセイストで、ブロガーから著述業になったようだが、ブログ時代にブサカワ犬わさおを「発見」した人だ。


沖縄、恐山、五島列島などを旅しながらメメントモリ(死を想え)しているが、特に重たいわけでもなく、風物を描写しつつ、旅人の視点でその土地について考えている。スピリチュアルな旅人が旅先で決意表明するのに付き合わされる理不尽さには笑ってしまうが、メメントモリ自体、結構スピリチュアルな気もする(笑)。


ガーナの装飾棺桶というのは以前にテレビのドキュメンタリーで見たことがあるが、故人の生涯に因むものをモチーフにして派手な棺桶を作ってしまうそうで、酔狂にも自分の棺桶を注文しており、それが本作の白眉。アフリカの強烈な風土と乾いた死が共存していて面白い。


著者は日本一有名な大学の出身らしいが、田舎で成績の良い女子でいることの窮屈さなども語っていて、この人は旅先にも人生にも違和感(生きづらさと語っている)を抱いていそうだが、それを発見するのも旅のメリットかも、なんて移動嫌いの自分は思う。

メメントモリ・ジャーニー

メメントモリ・ジャーニー