地方紙の記者を退職後、3年かけて世界一周をした著者が、各地で食べた「へんな肉」について記した楽しい旅行記である。
インドで水牛カレーを食べ(牛は聖なる動物だが水牛は食べていいらしい)、イランで羊の脳みそサンドイッチを食べ、エジプトでラクダを食べ、アフリカでキリンを食べ、ダチョウに追いかけられてリベンジにダチョウを食べ、南米でピラニアやリャマやアルパカやアルマジロやイグアナを食べ、マカオでカエルの子宮デザートを食べ、その好奇心は留まるところを知らない感じ。
この手の軽妙な旅エッセイは書き手が多く、読んでいると同工異曲に思えて飽きてしまうことが多いのだが、本書が最後まで楽しく読めるのは、食べ物の描写が美味そうな上に登場する人々がユーモラスで楽しく描かれているからだろう。その辺が凡百の旅エッセイと異なる感。著者自身による挿絵も楽しい。
- 作者: 白石あづさ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/04/26
- メディア: 文庫
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