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バッタを倒しにアフリカへ/前野ウルド浩太郎

数年前に話題になった新書。新進の昆虫学者がアフリカのモーリタニアでバッタ研究に打ち込んだ顛末を描く面白ノンフィクション。


ファーブル昆虫記で虫好きになり、バッタを偏愛するようになった著者は長じて博士号を取得するが、ポスドクという不確実な身分であり、学者として一旗揚げるべくモーリタニアのバッタ研究所に趣く。


アフリカでは大発生するバッタが作物を食い荒らして食糧危機に陥れることがしばしばであり、バッタ撲滅のための機関バッタ研究所がある。そして、著者のようにバッタの生態を研究していけば防除の手がかりとなるわけだが、バッタを愛する著者がバッタ撲滅に従事すると言うのも何だかちょっと変。


バッタをめぐるあれこれが面白おかしく描かれ、また、一筋縄ではいかないが良きパートナーとなるドライバーのティジャニや、人格者のババ所長など、人物も楽しく活写されている。


バッタという昆虫を巡る話でもあり、若き研究者が地位を求めてあがく成功譚でもあり、モーリタニアという土地を描く旅本でもあり、なかなかに楽しめる新書であった。

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)