本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

花の歳月/宮城谷昌光

片田舎の貧農の娘、猗望(いぼう)は清冽で美しく、吉相があると見なされ、十歳の時、漢王室へ送られる娘の代表に選ばれて故郷を後にする。呂太后が恐怖支配する後室に脅える日々であったが、別の公国へと送られ、更に転変の人生へ。

幼い頃に生き別れた弟の生涯も語られており、どちらも行いの美しさが後のハッピーエンドに繋がるが、短い作品であり、通常の宮城谷作品のように、人格の正しい主人公がさまざまな試練に耐えながら大業を為す、という感じでもなく、淡々と語られる感じ。

その辺が今ひとつ物足りないが、十分に楽しめる作品ではある。