本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ひみつの海(上・下)/アーサー・ランサム

ランサム・サーガの八作目。ウォーカー家の5きょうだいは両親と一緒にハリッジ近郊の湿地でキャンプの予定であったが、父親が海軍の仕事で急遽呼び出されることに。子供たちはキャンプを台なしにされたと海軍大臣をけなすのであった(笑)。

しかし、父親の計らいで子供だけでキャンプが出来ることになり、探検隊として出発すると、現地の野蛮人(を名乗る)ウナギ族グループとの抗争に発展しそうな幕開け。前途にスリルを持たせるが、そこは児童文学であるから、結局は上手く行くことになっている。

今回の出色はきょうだいの末っ子ブリジットで、開幕当初は嬰児だったものが、おしゃまなチビとして参加してきた。野蛮人に生け贄にちょうどいいと言われ、きょうだいたちがとんでもないとかばうと「あたしはもう大きいんだから生け贄にしてちょうだい」とわめくのである(笑)。

キャンプ地は潮の干満によって大きな干潟になるような湿地で、入り組んだ水路を船で進んだり、時には泥に行く手を阻まれたり、そんな自然の描写もスリリング。