ランサム・サーガのシリーズ第7弾。今回はウォーカー家の4きょうだいが本格的な航海をする。
海外赴任から戻ってくる父親(海軍軍人)を出迎えにハリッジに滞在している4きょうだいは、川を遡上してくる小さな帆船(エンジンもある)ゴブリン号の手助けをし、船主のジム・ブランディングと知り合う。大学への進学が決まっているということだから、ジョンやスーザンより数才上であろう。
ジムは好青年だし、ウォーカー家のきょうだいと意気投合し、父親が到着するまでゴブリン号に寝泊まりしても良いという許可を母親から得る。港外には出ないという約束で、楽しく過ごすつもりであったものが、ジムが他出中に霧にまかれ、更に錨も抜けて漂流する羽目に。沿岸部にいては浅瀬で座礁するかもしれず、沖合を目指したゴブリン号は、やがて嵐にも遭遇し、きょうだいだけで航海を続けることになるのだった。
ティティとロジャは年少で非常時には戦力外だから、進路を決め、舵を取り続けたのは冷静沈着なジョン。秩序の権化のようなスーザンまでが心労と船酔いで不安にかられている中、一つ間違えば転覆しかねないような困難な状況を果敢に切り抜けていく。
今までずっと影の人であった父親テッド・ウォーカーがついに姿を現すが、快活で闊達な海の男だった。末っ子のロジャだけは相変わらず楽天的で楽しいが、ロジャが一番父親に似たのかもしれない。夜の海を乗り切った話を息子から聞き、「俺のせがれだ。海の男になれる」とジョンに語るシーンは美しいなぁ。
手に汗握る場面の連続だったが、今回もめでたしめでたし。しかし迫力のある航海だった。