今回はツバメ号クルーもアマゾン号クルーも登場せず、ディックとドロシアのDきょうだいと新たな友人たちが主役である。
Dきょうだいは母親の恩師ミセス・バルバラから「借りたヨットで一緒に休暇を過ごさないか」という誘いを受け、喜んで出かけていく。湖水地方の友人たちにセーリングを身に付けたのだと自慢したかったのだが、ミセス・バルバラはセーリングは出来ず、停泊するハウスボートとしてのお誘いだったのだ。
ガッカリするDきょうだいであったが、自主的に野鳥保護活動を行う少年少女たちと知り合いになる。トム・ダッジョンら年長三人年少三人からなるオオバンクラブはみな熟達した船乗りだ。そして、モータークルーザーで無法に振る舞う観光客とトラブルを起こしたトムは、逃走とセーリングのコーチという一石二鳥でティーズル号と旅をすることになるのだった。
相変わらずのDきょうだいに加え、思慮深く正義漢の強いトム、明朗だがやや無鉄砲の感のあるミセス・バルバラ(提督と呼ばれる)、お転婆な双子女子スターボード(右舷)とポート(左舷)、やんちゃな海賊の年少三人組など、脇役の性格付けも楽しく、波瀾万丈のセーリング小説になっている。オオバンやアオサギやノスリなど、知っている鳥も多く登場するので鳥好きとしてはこちらも興味深かった、