ヨーロッパで自転車ロードレースのアシストととして活動する白石誓（チカと呼ばれる）を主人公に、自転車レースにまつわるトラブルをサスペンスフルに綴る人気シリーズの第四弾。
ドーピングで自転車レース界を追われたかつてのヒーロー、メネンコがツール・ド・フランスに戻ってくる。そして、白石に対し「君のチームに自分を狙っている人間がいるから、それとなく見張っていて欲しい」という依頼をしてくるのだ。冒頭からサスペンスが盛り上がる。様々な駆け引きがある自転車ロードレースであるから、更にいろいろな不安要素も持ち上がり、白石もなかなか大変だ（笑）。
アシストとはエースを勝たせるためのサポート役であり、自省的で我の強い性格ではなく、己の才能に見切りを付けている白石にとって適役だ。エースの優勝はサポートにとっても栄光なのだが、表彰台でシャンパンを浴びる姿を夢想したりもする。チームのエースを先導して下り坂を疾走していくシーンの爽快なことよ。
すべての謎が解決し、アシストに徹した白石の潔さが気持ち良い読後感をもたらす。
