本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

村上海賊の娘/和田竜 

結構けなしてます(笑)。



本屋大賞も取った話題作だが、今頃読んだ。村上水軍の中心である能島村上武吉の娘で、奔放で凶暴で考えなしの景(きょう)を主人公に、毛利家による石山本願寺への兵糧運び入れを描いた時代小説。

脳天気で野蛮な娘である景は戦を祭りくらいにしか考えておらず、信長と本願寺の攻防を見たことで戦の現実を知る。その中で知り合った淡輪海賊の七五三兵衞と死闘を繰り広げることに。

村上水軍を擁した毛利家による運び入れは当初成功したことは知られており、だから本書のハイライトとも言える海戦の攻防は結果が分かっているのでやや冗漫に思える。

当初、景を面白い(おもしぇー)奴と考えていた七五三兵衞が、人の生き死ににショックを受けた景を侮蔑的に見始めるくだりが正直なところよく分からない。凶暴だが快男児として描かれていた七五三兵衞が最後には戦闘マシーンと化して瀕死の景と戦うシーンは明らかにターミネーター本歌取りだろうか。

暴れ姫の物語だから痛快ではあるが、冗長さと七五三兵衞との妙なやり取りが水を差した感。「きしゅ」という秘密兵器の種明かしも「な〜んだ」という感じ。