本・花・鳥(ほん・か・どり)

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殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安/池波正太郎

人気時代劇「必殺」シリーズの原案となった本シリーズは未読で、やっと第一作を読み始めた。

人望のある鍼治療師の藤枝梅安は、裏の元締めから金で仕事を請け負う凄腕の殺し屋である。茫洋とした大男に描かれており、冷酷で鋭利な感じは表に出さないが、それもまた面白さだろう。

冒頭で過去の仕掛が述べられていて、おや、勧善懲悪の必殺シリーズと異なり、冷酷な悪党を主人公に据えたノワールなのかとちょっとゾクゾク来たが、「この世にいてはためにならない人間」が標的になるようで、そこの興味はちょっと半減。

それでも、鬼平剣客商売などの陽性ヒーロー譚とは別の、暗くじめっとした世界が妙に心地よい。やはり仕掛人で、ただひとりの仲間でもある彦次郎との友情が暗い物語に暖かさを添えている感。読み進めるのが楽しみだ。





ウシカメムシ