子供の頃からファミリーバンドのセンターとして人気を集め、長じて後は優れた音楽性とカリスマ的な存在感で音楽界に君臨したキング・オブ・オップは、銀座の廃校跡に「楽園」と呼ばれる屋敷を作り、傷痕と名付けた養女に仮面をかぶせて育てている。
そしてキング・オブ・ポップが五十路初めにして急死。養女、きょうだい、スーパースターの座から引きずりおろしたい扇情的な記事を書くジャーナリスト、幼児への性的虐待で訴えた自称被害者など、キング・オブ・ポップを取り巻く様々な人々が彼に対する思いを語っていくのである。
舞台が日本であるだけで誰をモデルにしているかは一目瞭然。結局、登場人物たちは愛憎含めてキング・オブ・ポップを好きなのであり、希代のスーパースターに対する著者の追悼なのだろうなと思った。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/12
- メディア: 単行本
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