本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

神去なあなあ日常/三浦しをん

林業青春小説。

主人公の平野勇気は、高校を卒業したらしばらくはフリーターで行こうと考えていたが、担任と親の共謀により、三重県の山中深くの神去に林業研修生として送り込まれてしまう。

当初は逃げ出すことを考えていた勇気だが(逃走劇が笑える)、世話役となっているヨキ(豪快で粗暴で女好きの三十男)や、若いのに冷静で温厚で威厳のある親方清一に林業を教え込まれ、徐々に村に馴染んでいくのであった。

いかにもありがちな設定だし、訳ありなツンデレ美女直紀との恋愛もパターンであるが、安定して読める。山への土俗的な信仰も描かれているが、ここが一番の白眉かもしれない。