本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ある日、アヒルバス/山本幸久

ヒルバスに入社して五年目のバスガイド高松秀子(デコ)が奮闘するユーモア小説。

特に優秀ではなく、かなりずっこけており、仕事を愛して愛して愛し抜いている訳でもないデコだが、そこそこには有能で、お客様を楽しませることに専心する、楽しいキャラクターである。この手の小説にはうってつけの主人公だ。

そうして、個性的なお客様にサービスしたり、鬼軍曹のようなベテランガイド鋼鉄母さんにしごかれたり、何の因果か新入ガイドの教育を任せられたりと、ドタバタとした日々が過ぎて行く。

風変わりではあってもほぼ善良なお客様や、たった一人になってしまった同期の亜紀など、登場人物とのやりとりが楽しい。コギャルのなれの果てのような亜紀はいい加減でケバい女性であるが、そんな亜紀に対し、デコは友情ではなく戦友意識を感じているらしい。新人教育に悩むデコのサポートを買って出る亜紀の侠気とはじけっぷりが気持ちよい。

山本幸久の諸作品同様、こけたり立ち上がったりしながら、一生懸命に走り続けるデコに好感が持てる、痛快青春小説である。



藤原紀香が「ある日、アヒルバス」に出演とかって話を見たが、40代女性の転職話ではなかったはず。拙ブログに掲載していないか検索したらなかったので、PC内からレビューを探し出して掲載。

なんだ、やっぱり全然ストーリーが違う。これで原作と言えるのか?
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/30000/212809.html