本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

Blacknuss/Roland Kirk

異能のサックスプレーヤー、ローランド・カークの魅力がたっぷりつまったファンキー・ジャズ。

カークは一部的に怪人と呼ばれたりするが、二本のサックスを咥えて演奏したり、フルートを吹きながらハミングしたり、歌いながら鼻でフルートを吹いたり、とにかくやることが奇妙奇天烈である。奇をてらっていると言えなくもないが、それがきちんと音楽として成立しているならば何びとも口を挟む権利などなかろう(笑)。

本作も出だしから快調に飛ばしまくってノリノリ。ジャズの範疇とされているが、ファンクに近い感じだ。

一番気に入ったのはTake Me Girl, I'm Readyで、もうどうにでもしてという感じの疾走感。

どうしても「与作は木を切る〜」のメロディに聞こえるAin't No Sunshine


カークの演奏については保守的なジャズファンから批判もあるらしいが、演奏として成立しているならどうこう言うこともあるまい。

カークを初めて知った時、傾奇者・前田慶次郎のことを思い起こした。傾奇者(かぶきもの)、婆娑羅(バサラ)とは、異装で奇をてらうことを好んだ中世の洒落者である。どこまで史実かは知らないが「一夢庵風流記隆慶一郎」に描かれている前田慶次郎は自由闊達・痛快な快男児で、特に奇をてらっている積りがなくとも自由人過ぎて世間の尺度と合わず、まともに生きられない男である。そんな慶次郎とカークが重なるのだがどうだろうか。

カークの異能はこんなところにも(笑)。
ウィキペディアより引用
「循環呼吸の公式記録はサクソフォーン奏者のケニー・Gによる45分47秒(1997年)で、ギネスブックに登録された。非公式にはジャズ・サクソフォーン奏者のローランド・カークによる2時間21分が最高記録といわれている。」

本作は奄美大島のCDショップサウンズパル(現在通販のみ営業中)より通販にて購入。個人商店なのでアマゾンと違い送料負担があるが、音楽がなければ生きていけない店長氏から直に売ってもらっている感覚は一般の通販ではあり得ない価値。下記リンク先はカークファンの高良店長氏のBlacknussレビュー。
http://soundspal.seesaa.net/article/408378933.html