本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

ゆんでめて/畠中恵

 「病弱若旦那一太郎と愉快な妖たち」が活躍するしゃばけシリーズは、面白くはあるものの毎度毎度同じような物語の繰り返しでいい加減飽きが来ており、この数年は新作に手が伸びなかったが、図書館の棚にあったので手にとって見たらきちんと面白かった(笑)。
 
ゆんで(弓手)とは左、めて(馬手)とは右のことで、一太郎が本来進むべき左とは反対へ行ってしまったことから大事な友を失い、途方に暮れる日々を四年後の世界から描くという、なかなか新機軸である。それぞれの短編は独立しつつ、少しずつ関連させてなかなか凝った構成だ。

気風のいい河童の女親分が痛快だし、一太郎には気になる女性ができたりして、マンネリの物語にちょっと進展があるのかなと思う。シリーズの次の作品も読んでみたくなった。