本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

Mourning in the Morning/Otis Rush

ブルースである(P・バラカン氏はブルーズと発音)。ジョン・リー・フッカーのベスト盤くらいは持っているし(映画ブルースブラザーズで「ブーン・ブーン・ブーン」とご機嫌に歌っていたおじさん)、アメリカのポピュラーミュジックのルーツでもあるし、特に忌避感はないのだが、哀愁や怒りや不幸に縁取られた暗鬱かつゴリゴリの音楽という感じでやや縁遠い感はあった。敬して遠ざけるというか。

オーティス・ラッシュは10年ほど前からわりあい気になっていたブルースミュージシャンである。おそらくFMで聞いたんだと思うが、R&Bに近いノリがあり、ゴリゴリのブルースより親近感が持てたのである。

で、近年、昔のポピュラー・ミュージックが大量の1000円CDとしてリリースされているが、ファンクやブルースのシリーズに本作があり、試聴してみたところホーンがガンガン鳴っていてモロに好みだったので、奄美大島のCDショップサウンズパルhttp://soundspal.seesaa.net/より通販で購入した次第。サウンズパルの高良さんhttp://ameblo.jp/soundspal/は様々な音楽に精通しておられるが、なかんずくジャズとブルースとロックに関しては淫していると言っていいほどなので(すみません!(笑))、この手の音源を、相談しつつ購入するには打ってつけの方なのである。

さて、それでは俺も本格的にブルースデビューだと思いつつ聴き始めてみたら、もうのっけからのド迫力にやられる。声とホーンとギターが渾然一体となり、どす黒い、しかしグルーヴィーな音像が展開される。声の魅力は相当で、低音でドスを利かせるかと思えばカーティス・メイフィールドばりの美声を張り上げたりもする。ファンク好きとしてはもうこれは親戚みたいなものでたまらんたまらん(笑)。ただ、12拍子のリズムと、意味は分からなくても妙に胸に迫ってくる短い詞を繰り返す構造はやはりブルースなのだろう。分かりやすくて本格的ブルースデビューには好適盤であった。

本アルバムとは違うバージョンだが、冒頭からしみじみ迫ってくるライブ版Gambler's Blues
http://www.youtube.com/watch?v=YNsRvFlVuZM