富士・箱根の帰路に立ち寄った茅ヶ崎市美術館「絵師たちの視線(まなざし)」。
井上安治をメインに、師匠の小林清親、弟弟子の土谷光逸の作品を並べたものである。小林清親以外の名前は知らなかったが、明治の浮世絵から徐々にポップになっていく変化が見て取れて面白い。
以前から小林清親の絵に興味があったが、夜の風景の美しさが魅力なのだなと気づいた。薄闇に浮かぶ人や樹木のシルエットが何とも美しく、光は月か窓明かりくらいという、実に美しい夜景の如き絵画なのだ。
従来の浮世絵に文明開化の事物を題材と近代絵画の技法を取り入れ、それが代を経るごとに変化していく。昭和初期の風景を描いた土谷作品はもはやイラストレーションという感じで実にモダーン。まぁ浮世絵は江戸の商業美術と言えるだろうし、江戸・明治〜昭和のデザインをつないで面白い展覧会だった。これだけ堪能して300円というのもお値打ち(笑)