本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

北の舞姫

芙蓉千里http://d.hatena.ne.jp/suijun-hibisukusu/20130528/p2第二部。

赤軍革命が成立して混沌とする哈爾浜では、遊郭酔芙蓉は閉じられ、舞いの名手として名声を確立したフミはスランプに陥っている。元々超越的な身体能力で成り立っていた彼女の舞いには基本的な部分が欠けていたのだ。日本軍や欧米や革命政府や白軍政府の間で翻弄され、大変な苦汁をなめるフミだが、愛しい男山村(馬賊だったり、ロシア反政府軍の一員だったり、日本軍からは追い回されたりと相変わらず胡散臭い)への思いは変わらず、時折、二人の運命が交差して、熱い思いがほとばしる。さんざんな苦労もこの出会いによって報われるのだ。

高等遊民だったフミの旦那黒谷にも運命の転変が迫り、この男もやっと過去を封じて動き出す。あくまで優雅で繊細な黒谷に対し、妾腹の弟武臣は猪突猛進で直情径行の頑固者だが、これに対する碓井という陸軍中尉(情報専門らしい)の冷静さが際だって、この二人のぶつかり合いもなかなか楽しい。最終巻でまた火花を散らしてくれないかな(笑)。

精魂込めて一世一代の鷺娘を踊ったフミの運命やいかに!