本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

Sounds of Summer The Very Best of The Beach Boys

ビーチボーイズのベスト盤。初期から88年のKokomoなで、30年くらいの活動期を網羅しており、このグループの変遷や音の多彩さなどが楽しめる構成になっている。

サーフィン・ホットロッドミュージックというジャンルになるのか、I get around,Surfin'USA,California girl,Fun Fun Funなど初期のヒット曲は何と言ってもノリノリで、オールディーズの雰囲気もあって大変に楽しい。歌のテーマは海や車や女の子で、何とも脳天気な十代の夏という感じだが、どこかに切なさ・寂しさが漂うのは、センチメンタルなメロディの故もあろうが、脳天気な夏など幻想に過ぎない、或いはそんな夢のようなアメリカはもう終わった、と思ってしまうせいかもしれない。

ビーチボーイズのコーラスについては以前からちょっと違和感を持っていたが(何か調和的な和声から少しはみ出した感じ)、これはどうやらフォー・フレッシュメン的なハーモニーを模索したものとか。聞き込んでいると何とも美しく感じられてくるものだ。Barbra Annはスタジオライブで録音したものらしく、このグループの歌唱力の凄さが分かる。


こう言った音作りに関してはブライアン・ウィルソンのこだわりらしい。フィル・スペクターの影響もあるようで、カバー曲のDo You Wanna Danceは確かにウォール・オブ・サウンド的だ。


ブライアンの精神疾患や体調不良などもあってか、脳天気な夏の歌から内省的になった歌詞や夢を語るような歌も見られるようになる。メロディが印象的なHeroes and Villiansは好きな曲。


因みに、ビーチボーイズの楽曲で印象的なファルセット(リードボーカルはウィルソン兄弟のいとこマイク・ラブ)はブライアン・ウィルソンの声らしい。ビーチボーイズの楽曲中で一番好きなのはGood Vibrations。寮で暮らしていた高1の春、発熱で保健棟で寝ていたとき、同じように療養中の先輩がラジカセでかけていた曲で、熱に浮かされた頭に妙に涼しげなサウンドが気持ちよかったのを覚えている。そして、風邪療養のBGMとして引っ張り出したのが本作なので、自分とビーチボーイズは何かと病気でつながっているのだ(笑)。


グループの方は個別に活動したり分裂したり再結成したり分裂したりしながらゆるく続いているようだ。ポピュラー音楽の世界で50年君臨し続けているって凄いことだなぁ。