本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

サキソフォン・コロッサス/ソニー・ロリンズ

よくジャズ入門に採り上げられる名盤だが、暗鬱だったりムーディだったり超絶技巧のアドリブばかりだったりの直球ゴリゴリモダンジャズはやや苦手で(もちろん嫌いじゃないけど)、ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンマイルス・デイヴィスなどのジャズジャイアントは敬遠気味だった。

しかるに、某輸入盤通販サイトで二枚組(三枚のアルバムが二枚のCDになっている)が安価であり、これもチャンスだなと思って購入してみた。サキソフォン・コロッサスで一枚、ニュークス・タイムとテナー・マッドネスで一枚という、実にお得な構成である。別々の作品を一枚で聴いてしまうのは邪道であろうが、PCに取り込み、分けてプレイリスト化すれば別個の作品として聴けるので、こういうのもデジタル時代の恩恵かも。

ゴリゴリモダンジャズにやや身構えながら聴き始めたサキソフォン・コロッサスだが、M1 St.Thomasが軽快に流れた始めてしまったからびっくり。カリプソをベースにしているそうで、明るいラテンジャズの曲調なのだ。これは楽しいと思っていたらM2 You don't know what love isは重た〜いいかにもモダンジャズな曲で、しかし心に染みいる演奏であり、絶妙な展開に引き込まれてしまう。

ロリンズに対しては「唄心あふれるフレージング」などの讃辞があるようだが、自分はアドリブの善し悪しなど分からぬ、鑑賞力のない音楽好きである。好悪の基準はテーマのメロディの方が重要で、プレイヤーにはさほどこだわりを持たないのだが、このテナーはいいなぁ。テナーサックスというとドスの利いた低音というイメージがあるが、人の声に近い感じで何とも気持ちの良い音色なのである。このあたりも人気の要因なのだろうなぁ。

流麗なのにファンキーなピアノソロもいい感じだなと思ったら名手トミー・フラナガンだった。ビル・エヴァンスバド・パウエルのいいところ取りみたいな感じ(笑)。リーダーアルバムも出しているはずだが、何か職人サイドメンというイメージが強い。無欲な人なのか?マックス・ローチのドラムもノリノリ。

収録曲
1 St. Thomas(Sonny Rollins
2 You Don't Know What Love Is(Raye, DePaul)
3 Strode Rode(S. Rollins)
4 Moritat(Brecht, Weill)
5 Blue Seven(S. Rollins)


St. Thomas
http://www.youtube.com/watch?v=mPU8vISWg1oSonny