本・花・鳥(ほん・か・どり)

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生誕100年 藤牧義夫展 モダン都市の光と影

先週、大船の病院を受診後に鎌倉へ行き、県立近代美術館で行われている「生誕100年 藤牧義夫展 モダン都市の光と影」を鑑賞。藤牧義夫は24才で行方を断ってしまったという版画家である。東京の町並みを太い直線で大胆に描いた作風はポップでモダンで、いかにも昭和初期のモダニズムという感じがする。現代文学のカバーに使われても違和感なさそうなデザイン性は染織図案家という本業に拠るところが大きいだろう。

圧巻は白描絵巻。町並みを20mほどの絵巻に線画で描写しているが、江戸名所図会的な細密な町並み描写があったかと思うと、ふいに立体的に奥行きのある近代的な建造物が描かれていたりして、このあたりは洋画の遠近法を使ったものかと思われる。この絵巻を撮影して、動画として壁に映写するコーナーもあり、昨今はこういう楽しみ方もあるんだなぁ。。

別館での日本画ベストセレクションは山口蓬春の数点が面白かった(特に器の絵)。一度、葉山の山口蓬春記念館に行ってみたいものだが、車では行けないのが難点。南北朝時代曼荼羅が展示されていたが、歓喜天曼荼羅(おそらくヒンドゥーガネーシャが原型と思われる)というのがいかにもあの時代っぽい。

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2011/fujimaki/index.html


鎌倉鶴岡八幡宮境内で咲いていた早咲きの桜