焼き物が好きで、安い作家物を買ったり、焼き物好きの両親が陶芸の土地へ旅行したときに土産に貰ったりしたものを箱に入れて棚の上に上げておいたら三月の震災で落ちてしまった。チャリチャリと悲しい音がするので開ける気になれなかったが、昨日、部屋の掃除のついでについに開梱。三点ほどを除いてやはりほとんどが割れてしまっていた。
画像は信楽の高橋楽齋窯の徳利。母と、母の友人の小母さんと、車で伊賀・信楽へ「窯元を訪ねる旅」をしたときに、その小母さんが買ってくれたものだ。数千円で買えるものだが、楽齋さんは信楽で名の通った陶芸家であり、いい品物だったと思う。首が取れてしまったのが残念だが、一輪挿しに使えそうだし、欠けたところにも風情がある(と思うことにする)。
備前焼、信楽焼、伊賀焼、丹波焼のように、土に釉薬をかけずに焼成したものを焼き締めという。豪快で素朴な美があるし、薪の灰がかかって自然釉になったりするのも面白く、この手のものが大好きだ。
備前では陶土の小石をいちいち取り除くが、伊賀や信楽ではそのまま焼いてしまうので、粒々もまた風合いになっていたりする。この粒々を蛙の目に見立てて蛙目(がいろめ)粘土と言うそうだ。
伊賀で買った三田窯(谷本景)のビアカップは無事だったのがせめてもの慰め。それにしても下戸のくせになんで酒器が好きなんだろう(笑)。