本・花・鳥(ほん・か・どり)

本とか植物とか野鳥とか音楽とか

自転車冒険記/竹内真

快作「自転車少年記」の主人公の一人である昇平の息子北斗が本作の主役。小学六年生の北斗は、クリスマスのプレゼントに一人で大阪までツーリングすることを許可して欲しいと切り出す。全行程を数日に分けると、一日あたり(100km)が宇宙までの距離になるという思いつきを面白がる昇平だが、心配性の母親がそうは問屋が卸さず、結局、昇平が伴走車でサポートすると言うことで親子二人旅が始まるのだった(ボクシーのCMみたいだ(笑))。

向こうっ気が強くてやや無鉄砲でやや反抗的な北斗は自転車少年記の昇平を彷彿とさせ楽しい。成長して多少は思慮深くなった昇平は、無謀な試みが失敗するとしてもそれもまた糧になるのだと考えていて、自身がトラブルに巻き込まれながらも息子のために懸命だ。

爽やかな結末に読後感は大変によろしい。元自転車少年の草太や伸男もちょっとだけ登場していて、ちょっと曰くありげな書き方をしているだけに、何か更に続編があるのかなぁと楽しみにしている。