本・花・鳥(ほん・か・どり)

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ある人気作家新刊と「時をかける少女」

ある人気作家の新作(三ヶ月ほど前に出たもの)を読んでいて、この筋立ては「時をかける少女」へのオマージュかなぁと感じた(ネタバレになるので新作の書名は出しません)。時間トリックとそこに流れるリリシズムがよく似ているように思えたのである。で、「時をかける少女」周辺のことがつらつら思い出されてきた。

何度も映像化されているこの作品を初めて知ったのは小五の時で、NHK少年ドラマシリーズの「タイムトラベラー」だった。クラス内で原作が流行り、自分も買ってみたが、その結末が切なくてちょっとがっかりしたのを覚えている。主人公の芳山和子はその後美少女アイドル女優として人気の出た浅野真弓がを演じており、ちょっと色っぽくて可愛いこのおねーさんが子供心に憧れだった(笑)。この人、柳ジョージ奥さんだったんだ。知らなかった。

ミステリアスな同級生深町くんを演じていた木下清もなかなか適役だったと思う(フジテレビでドラマ化した際の袴田吉彦はこのNHK版の深町くんとかぶってなかなか良かった)。

原田知世主演の映画化で深町くんを演じたのは高柳良一で、健全すぎる風貌と芝居の下手さでミステリアス感はゼロだった。むしろ芳山和子の幼なじみ役の尾美としのりの方が適役だったんではと思ったものだが、ウィキペディアによるとこの棒読み振りは大林監督の指導だったそうだ。

某劇作家だったと思うが、エッセイで名を挙げずに「故郷でしか名作を撮れない監督」と揶揄していたのは大林宣彦に違いなかろう。確かに尾道三部作は名作だし、ナンダコリャってのもあるが、観音寺を舞台にした「青春デンデケデケデケ」だって名作だぜ(笑)。この作品では少年時代の浅野忠信が見られるのも一興、まさかあんなに出世するとは思わなかった。

原田知世が歌う主題歌もヒットしたなぁ。ミステリアスでリリカルで可憐な佳曲だった。

知世ちゃんかわいい・・・。もう30年近く前なんだなぁ。



時をかける少女」から徒然に広がった雑想でした。


  

少年ドラマシリーズのアンソロジーDVDは奇跡的に発見された「タイム・トラベラー」の最終回を収録。当時ビデオテープは貴重品で、NHKでは使い回しのために保存しなかったそうだ。後に貴重な財産になるという発想がなかったんだろうなぁ。